第1話

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演歌は洋楽? 日本の流行歌のルーツに迫る!明治〜戦後編 第1話

邦楽ロック好きにも聞いて欲しい演歌の世界1 演歌や壮士節,軍歌を交えながらわかりやすく解説

2016/09/23

中本二郎

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演歌 壮士節 軍歌 音楽 民謡 歌謡曲 三波春夫 春日八郎 東海林太郎 美空ひばり 藤山一郎 JPop

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  • 音楽の流行は日々、変わっていきますが、それでも根強い人気の「演歌」。 お年寄りにだけ人気と思われていますが、意外と若い人にもいま、人気が出始めているようです。そもそも演歌って…? いつもの三人がカラオケに来ているようです。

  • ♪ホゲ〜〜!!

  • …。

ワロタ
  • ふ〜。歌った、歌ったし。
    どうだし?僕の三代目は?

www
  • うーん、お前が歌うときの野太い声は、どうしても最近流行りのJpopには合わないんだよな。
    どっちかつうと三代目桂春団治って感じだ。

ワロタ
www
  • 失礼だし!

  • そうそう、今っぽくないのよね。

  • ゆりかまで! 今風の歌が歌えなかったらどうすればいいし!

  • んー。 履歴でも見てみる?

  • 見てみるし。 あれー? 僕たちの前はお年寄りだったし?

  • ほんとだ、演歌ばっかりね。

  • 演歌ってなにがいいのかわかんないし〜。
    みんな同じに聴こえるし〜。

  • みんな同じじゃねーよ。 お年寄りにしてみたら、今はやりの歌のほうがみんな同じに聴こえると思うぞ。

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www
  • そうかもねー。 最近の歌って、どれも歌詞がすごく多いイメージ。 その究極がラップとかアニソンだけど。

わかる
  • 確かにそうだな。
    まぁ、演歌にもその傾向はあると思うが。
    昔の演歌はスローテンポで、本当にひとつのフレーズでグッと心をつかむものが多いな。

  • なんでだし? 昔の人はのんびりしてたし?

  • いろんな要因があるだろうけどな。
    単純にネット以降は情報量が多いから、それも反映してるだろうし。

    それに、CDより前でレコードやテープの音質だったり、テレビやラジオも質が悪かった頃はゆっくりとはっきり歌わないと聞こえづらかったんだろう。

  • なるほどねー。 あ、でも私も知ってる演歌あるわよ。 石川さゆりの…夜行列車のやつ。

  • 津軽海峡冬景色な。
    あれは、印象的なイントロと、石川さゆりの過剰なまでのこぶしのきかせ方で、「天城越え」と並んで演歌の革命を起こした。

  • 天城越えも知ってるし!すんごいエロい歌だし!

  • 確かにエロいな。
    カラオケスナックとか、キャバレー全盛だった時代に、女の人を口説くのにオッサンが歌うのにもピッタリだったわけだ。

    そういうニーズとともに流行というのはできていく側面がある。

  • ふむふむ…。なるほど。

  • 歌は世につれ、というからな。 どんな歌が流行するか、というのはその時代を反映している。

  • 演歌が全盛の時代はどういう時代だったし。

  • その前に、演歌っていうとどういうイメージがある?

  • やっぱり、オッサンやオバちゃん、いやオジーサン、オバーサンが好きなイメージよね。

  • それは単純に、彼らの若い頃に流行ったからな。

  • 演歌は日本の心!って感じだし。

  • 日本の心ねえ。確かに。 でも、いわゆるみんなが持ってるイメージの「演歌」が出てきたのはわりと最近だな。

へー
  • そうなの? なんか大昔からあるイメージ。

  • 民謡なんかは各地域にずっとあったわけだが
    みんなが知ってるまでになるには当然、レコードやテレビ、ラジオなどメディアに乗っているわけだから、演歌歌手によって広まっていってるよな。

  • 確かにそうだし。

  • 民謡がベースになってはいるが、メディアが出てきてから、ビジュアルやキャラクター性と一緒になってきたんだ。

    村単位で農林水産作業をしながら歌っていたワークソングとして「集団」の音楽だった民謡が、「個人」の感情をより代弁しだしたものだな。

  • なるほどねー
    たしかに演歌って、男と女とか、寂しいとか、お酒とか…。そんなイメージ
    どのへんから、民謡から演歌になっていったの?

  • になっているのは明治時代の壮士節と言われている。

  • そーしぶし?

  • もともと演歌の「演」は演説の「演」なんだ。

  • えっ、演技の演だと思ってた!

  • 明治20年頃に盛んだった自由民権運動
    街角で、七五調で唄ったのが始まりだ。

  • ほんとに街頭演説だったんだし。

  • 民権論者の壮士と呼ばれる人たちが歌ったから、「壮士節」ともいわれた。自由民権思想を広めるための演劇が壮士芝居と言われる。

  • へー。 こないだ、選挙フェスとかってやってたけど、ある意味、原点回帰なのね。

  • そうだな。 そんな中で出てきたのが、演歌の元祖と言われる「ダイナマイト節」を広めた添田唖蝉坊(そえだ・あぜんぼう)という人。

  • なんだしこれ…。 演歌っぽくはないし。

  • 歌詞もなかなかおもしろい。

  • 民権論者の涙の雨で磨き上げたる大和胆  
    国利民福増進して民力休養せ
    もしもならなきゃダイナマイトどん
  • なんかよくわかんない…。

  • そうだな。
    民権論者とか、国利民福とか、漢語を使っているけど、扱ってるのは西洋のデモクラシー思想。

    音は土佐のよさこい節がベースで、ダイナマイトという最新技術。

  • ぐっちゃぐちゃだし!

  • そして、壮士芝居の川上音二郎一座が、パリ万博に呼ばれて披露した「オッペケペー節」が日本最古の音源だ。

  • 日本最古の音源!
    聴いてみたい!

    オッペケペー節

  • すげーハイカラな感じだし! ラップみたいなパートもあるし!

  • 民衆の立場から、リズムに乗せて世相を歌うのはまさにラップだな。

  • この時代はまだ録音技術なども未熟だし、一般に広まるようなものじゃない。 昭和に入ってからは、大正琴やマンドリン、ギターを使い、これまでの流れを組んで政治的なものから叙情的な詩を歌にした古賀政男が爆誕!!

    影を慕いて

  • あー、一気に演歌っぽくなってきたわね。

  • そうだね。これが、いわゆる現代でイメージする演歌の元祖だと思う。 これまでの演説歌である演歌は、むしろその後のフォークソングのほうに引き継がれていった感じだね。

  • この時代にも名歌手はいた。例えば、巨根で有名なことからこの名がついたディック・ミネ。 ハワイアンなどの西洋音楽も多く歌ったが、演歌っぽい名曲「旅姿三人男」もある。

    旅姿三人男

  • でもそこから戦争になっていくし?

  • その通り。 昭和中期にはラジオが普及しはじめ、軍歌戦中歌謡が流行った。 軍歌は、大本営が戦意高揚のために流行らせた「軍艦行進曲」「加藤隼戦闘隊」などの勇ましいものに始まった。

  • アゲアゲだし!

  • 戦局が悪くなっていくと、いくら大本営が鼓舞しても、流行るのは暗い歌ばかりになる。これは軍歌ではなく戦中歌謡という分野だ。 「可愛いスウちゃん」「同期の桜」「父よあなたは強かった」「戦友」などなど。

    父よあなたは強かった

  • 確かに、急に暗くなっていってるわね…。

  • わかりやすく暗くなりすぎだし! 強かった、ってもう過去形だし!

  • 歌は世につれ、というやつだね。 そして戦争が終わると、これまで敵性音楽とされていたジャズなどもガンガン入ってきて、美空ひばりというスーパースターが登場する。

    悲しき口笛

  • ひばりちゃん!知ってるし!

  • 演歌の女王ってイメージね。

  • そういうイメージなのはわかるが、当時入ってきたジャズも英語で歌っていたし、演歌以外もオールマイティに歌い上げた、まさに戦後最大のスターだ。

  • へえー、そうなんだ。

  • ジャズ、民謡、演歌、歌謡曲、映画や芝居に主演してその主題歌、大衆の求めるあらゆる歌を歌った。

  • このへんから、演歌がどんどん生まれていくし?

  • そうだな。 他には、

    民謡を演歌へと昇華させた三橋美智也
    古城

    オリンピック音頭の三波春夫
    東京五輪音頭

    大衆の哀愁を歌った春日八郎
    赤いランプの終列車

へー
  • みんなかっこいいし!!

  • これまで圧迫されていた生活から一気に解放されて、さらにはアメリカから新しい音楽も入ってきて、テレビも普及しだして、日本人がさらにわけわからなくなっていた時代だ。

    新しいものを取り入れつつ、日本人としてのアイデンティティにもしがみつきたい、そんな莫大な感情のエネルギーが演歌になったと言えるだろう。

  • なるほどだしー。 伝統音楽ってわけじゃないんだし。

  • そうだな。 他には、日本で初めてエレキギターを持って歌った、バタやんこと田端義夫

    島育ち

  • かっこいいし! こんなギターの持ち方初めて見たし!

  • バタやんは、エレキの元祖でもあり、沖縄民謡をベースにした南国の歌や、玄界灘を歌った玄海ブルースなど、ご当地ソングの世界も広めたな。

  • 戦前から活躍している東海林太郎。名月赤城山とか、上海の街角でだな

    名月赤城山

  • 藤山一郎。

    青い山脈 あたりが有名だな。

  • どれもシブいし〜。

  • でも、みんな洋服着てるし
    津軽海峡〜みたいな「ザ・日本」「ザ・演歌」みたいのが、ここまで意外と少ない感じ。

  • たしかにそれもそうだし。 演歌といったら北島サブちゃんみたいに、着物で歌うイメージだし。

  • まぁ、ここまで説明したように
    本当の「邦楽」と呼べるようなのは江戸時代までにできた唄なんだ。
    明治になってからは多かれ少なかれ海外の影響を受けてるから、ほとんどが「洋楽」なんだよな。

  • へえ〜。 でも、エグザイルとかも邦楽コーナーにあるし?

  • だって使ってるのがギターとかマンドリンとかトランペットとか、西洋楽器な時点で洋楽だろう。
    みんなが思ってる演歌の「型」みたいなものは、ここ戦後からさらに固まっていく。

  • いろんな源泉はあるけど、敗戦のショックで一気に花開いた文化なのね。

  • 北島サブちゃんはまだかし!

  • そうだな、ではテレビ時代、演歌のアイコン的存在、北島三郎について…。

  • サトルの演歌談義、北島三郎以降編に続く!

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