第2話

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インド仏教一億人の指導者は日本人? 前代未聞の日本人仏僧、佐々井秀嶺って誰だし?? 第2話

悩める佐々井青年、そしてインドへ! 佐々井秀嶺やインド仏教,ナーガールジュナを交えながらわかりやすく解説

2016/07/04

中本二郎

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  • インド仏教一億人の頂点に立つ日系僧侶、佐々井秀嶺。日本での若き苦悩の日々から、インドへ渡る!

  • すごい人だけど、本当に悩める青年だったんだし。

  • 釈迦様だって、王族の出とはいえ悩める青年だからな。

    そして貧富からいっても、日本人はインドからすればかなりのお金持ちの部類だろう。

  • たしかにそうだし。 お釈迦様の化身なのかもしれないし。

  • それは誰にもわからないけどな。

  • でも、ようやく理想の師匠に出会えてよかったし。

  • しかし、我の強い佐々井青年。 人間関係の悪化から寺にいづらくなり、鹿児島に移り住み、日蓮宗教王寺で修行する。

  • なかなか安住の地はないんだし…。 しかし日本中いろいろ回ってるんだし。

  • その後、より仏教について学びたいという気持ちが起こり、1962年、再び東京に渡り大正大学の聴講生となった。

  • 高校二度も中退してこんどは大学だし! やっと落ち着いて仏教を勉強できるし?

  • …しかし、ここでもまた、大学の女学生と恋に落ちて、その悩みから岐阜県は乗鞍山の山頂で三度目の自殺を試みる…。

  • …もはやかまってちゃんじゃないかし… またすごい場所で…。 今度もまた何かに止められたし?

  • いや、今回の自殺は、その瞬間、大自然との入我我入を経験し、その非現実的な感覚から、自殺を思いとどまることとなったんだ。

  • …傍からみてたらただの山登りだし…。

  • そこから東京に戻り、浪曲師や易者としても活躍して、収入も増え恋愛関係など私生活も充実していったんだ。

  • ふつう、ここでめでたしめでたし、だし。

  • そうはならなかったんだな。安住を求める人では到底なかった。1965年、師匠の山貫首にタイへの仏教留学を勧められると、思い切ってタイに渡ることにしたんだ。

  • タイ! インドじゃないんだし。

  • タイはインド以上に仏教徒の割合の多い仏教だからな。

  • それでオレンジの布を巻いてタイのお坊さんになったんだし?

  • いや、タイでも、馴染むことはできなかった。 中国人女性、タイ人女性と恋仲になってしまう。

  • インターナショナルにモテモテだし…。

  • もちろん、小乗仏教に近いタイでは恋愛はご法度。 それでも、「おれは日本人だ!」と開き直った。

  • どこに行ってもアウェイな人なんだし…。 おとなしく東京で浪曲師してれば安定してたし…。

  • そして恋人に結婚を迫られて居心地も悪くなった1966年、ついにインドに渡る。

  • おぉ、30過ぎてついにインドへ! タイから逃げて辿り着いたんだし!

  • ビハール州ラージギルというところにある、日本山妙法寺というところで、建設中の世界平和塔建立の基礎工事に携わる。 土木工事監督者として現地の人々にも慕われた。

  • インドが性に合っていたんだし。

  • しかし、そこでも日本山妙法寺の代表と…。

  • 人間関係的に合わなかったんだし。 もう言わなくてもわかるし。

  • そうだな。 しかし、この時、奇跡が起こる!

  • えっ?また奇跡? この人の人生、奇跡多すぎだし。

  • インド仏跡を巡る旅に出るためこの地を離れる日の夜中2時ごろ、近郊にある多宝山に登って、結跏趺坐していたところ…。

    何かでガーンと頭を叩かれた!

  • 強盗だし!山賊だし!!

  • 鋭い眼光の老人が、目をカッと見開いて立っており、右手には剣とも杖ともおぼつかないものを持って佐々井を押さえつけ、身動きのとれない佐々井にこう言った。

  • 「われは龍樹なり。
    汝すみやかに南天龍宮城にゆけ。

    南天龍宮城はわが法城なり。
    わが法城は汝が法城。
    汝が法城はわが法城なり。

    南天鉄塔もまたそこにあらんか」

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  • つまり、「南天竜宮城へ行き、南天鉄塔を見つけ出せ」と告げた、と。

  • とうとうお告げを受けちゃったし。

  • これは、記録されているが、本人は夢じゃなくて実際に見た、と言っている。 ナーガールジュナは龍樹ともいい、大乗仏教の根本となる「空(くう)」の概念を生み出した人だ。

  • くう…。ってなんだし。

  • 空っていうのは、「存在する」と「存在しない」の上位概念だ。

  • …??

  • わかりやすく言えば、俺とお前は違うよな。

  • 違うし。一緒にしてほしくないし。

  • …。

    でも、人間というくくりでは同じだ。

  • たしかにそうだし。

  • それをつきつめれば、動物も植物も、生き物というくくりでは同じ。

  • …ふむふむ…。

  • もっと究極までつきつめれば、存在するものも、存在しないものも同じである、というところまで行き着く、それが「空」だ。

  • ……??

  • まぁいい。お前には高度すぎた。 般若心経にも出てくる言葉だから、おぼえておけばいい。

    まぁ、そのナーガールジュナが夢で見つけ出せといった「南天鉄塔」というのは、真言密教の根本経典があるといわれる、南インドのどこかに存在する鉄塔のことだ。

  • なんかロープレみたいになってきたし。

    ひとりドラクエだし。

  • たしかにドラクエみたいだな。龍樹だし。

    夢の教えでは、インドのナグプールにあるとされた。佐々井は一目散にナグプールに向かい、そこにインド山妙法寺という寺を作ったんだ。

  • 夢ひとつでインドにお寺まで作っちゃうとか…。

  • そこを拠点に、仏教活動を行うにつれ、釈尊生誕の地であるインドで仏教が壊滅状態なことを身をもって知ることになる。

  • ここで気づいたのかし…。 イチローがアメリカに行ったら野球が壊滅してた、みたいなもんだし…。

  • ここで不可触賎民たちが仏教改宗することで仏教が再興しつつあることも知る。

    不可触賎民出身でありながらインド憲法草案作成にまで携わった、ビームラーオ・アンベードカルの存在が大きかった。その死の2ヶ月前まで、50万人の不可触賎民を仏教に改宗させていたんだ。

  • その活動を引き継ぐことになったんだし。 夢に出てきた偉い人の導きかもしれないし。

  • そこでの活動が大きくなってゆき、一方でインド中央政府からは危険人物とみなされる。

  • 危険人物には違いないし…。

  • 釈迦がそうであったように、佐々井はひたすら現場で地元民と一緒に汗をかいた。

    日常的な勤行や布教、改宗の儀以外に、一般信徒に求められれば冠婚葬祭にも赴き、子供に名前をつけたり、自ら陣頭指揮をとって寺や学校、診療所、孤児院、老人ホームを建設し、それらのために必要な寄付を托鉢で集める。

  • すごいし。 寄付っていっても、もともと貧しい人たちだからお金ないし!

  • だからこそ寄付に意味があるという考えだよな。

    しかし、そんな動きに危機感をおぼえたヒンズー教当局が、佐々井を逮捕した。不法滞在だな。

  • 捕まっちゃったし!

  • 地元新聞は1面トップで不当逮捕として非難。不当逮捕反対のデモに10万人の市民が集まって、佐々井への国籍授与を求める「全市民佐々井秀嶺擁護委員会」が結束されたんだ。

  • すごいし! 日本の国会前のデモとか比べ物にならん規模だし!

    みんな、ヒンズー教から改宗した仏教徒なんだし?

  • いや、それが仏教徒に限らず、ヒンズー教徒も、イスラム教徒も、宗教や宗派の壁を超えて60万もの署名が集まった。

  • 60万! すごい数だし!しかも仏教徒だけじゃないんだし。

  • この署名によって、ラジーヴ・ガンディー第9代首相は異例の取得許可を出して、「アーリア・ナーガールジュナ(聖龍樹)」というインド名を与えた。

    佐々井は53歳にして、インドに帰化したんだ。

  • インドに渡って20年だし!

  • そうだな。 ちなみに、その首相は3年後にテロリストにより暗殺される。 そのくらい命がけな現場ということだ。

  • すごすぎるし…。

  • 佐々井もその後、二度の毒殺未遂をはじめ、何度も暗殺の危機に見舞われる。 それでも差別解放、仏教布教のために驀進し、2003年には仏教徒代表として、インド政府少数者委員会(マイノリティ・コミッション)の委員に就任する。

    ※少数者委員会とは、ヒンドゥー教が圧倒的多数なインドにおいて、キリスト教、イスラム教などの少数派の宗教の意見を代弁する委員会のこと。

  • 認められたんだし! イチローがメジャーリーグの監督になったようなもんだし!

  • いまでも毎年、ヒンドゥー教から仏教への改宗式が盛大に開かれて、多い時では100万人がその場で仏教に改宗している。

  • はぁ〜〜〜。 すごすぎてわけがわからないし。

  • そして、なにより驚くべきエピソードがあるんだ…。

  • まだあるのかし!!

  • つづく!

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