第2話

全4話

ただし達が夏の風物詩ということで怪談話をするそうです 第2話

嫌な感じがしたんだよ。 怪談話や怖い話,百物語を交えながらわかりやすく解説

2016/08/26

えいすけこばやし

2

怪談話 怖い話 百物語 話題 幽霊 おばけ 心霊

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  • 続きです!

  • でもまあ、一つ空いたことになるので、私の前にいた赤い服の女性が中に入っていったの。
    そこでね、びっくりすることに後ろのおばさまが私に急に話しかけてきたのよ……。

  • ひっ…!

  • …!!

  • 「ねえねえ、あなた、お急ぎ? 私、すごく急いでいるのよねぇ。順番を譲ってくださらない?」って……。
     
    もちろん、むむむむむむっって思ったけれど、まあ一人くらい、後ろの変なプレッシャーがなくなるのも楽だなって思ったから、先に行かせてしまおうって、「どうぞ、お先に、いいですよ~」って譲ったのよ。

  • …ちょっとお腹の調子が悪かっただけだし…。

  • そのおばさまはろくにお礼も言わずに私の先に並んで、そしてさっきの仲良し奥様のもう一人が出てきたらサササっと中に入っていたわ……。
     
    正直ちょっとイラっとしたわね……。
    で、そんなことはいいのよ、ここからなの。

  • 私は頭の中の計算上、今はトイレの2つの個室の中に赤い服の女性、そして、私がゆずったおばさまが入っている。
    つまりはすぐに私の番が来るなって計算していたのよ。

  • そういうことになるよね。

  • それから5分くらい経ったかな?
    最初に赤い服の女性が出てくると思っていたら、先にさらに強くなった香水の香り、いや、匂いと共にさっきのおばさまが出てきたの。
    「ありがとねー」っていう軽い言葉と共に。  
    私は自分の番が来たので中に入ったの。
    すると……。え?? って思った事があったの。

  • …なんだし?

  • あのね、個室は2個あって、おばさまが出てきたという計算上、2個のうち1個の個室には赤い服の女性が入っている「はず」なのよね。
     
    だって私はその方がトイレから出てきたのを見ていないし、出入り口は一つだから他から出た可能性はないし……。

  • あるとすれば私の記憶がおかしくてその女性が出てきた事に気がつかなかった?
     
    でも、こんなに周囲がシーンとしている場所で、売り場にかかっている有線放送の音楽もうっすらとしか聞こえないような場所で私が人が出て行くのを見逃すはずないとも思ったのよね……。

  • いいねいいね…。

  • でもまあその時は私の気のせいで、出てくるのを見逃したんだな、と思ってトイレに入って用を足したの。

  • …大かし?

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  • …でもトイレから出て紀と合流してもまだなんだか引っかかっていたのよね。
    だからその事を由紀に話したの。そしたらね、由紀がこんな事を教えてくれたの。

  • …。

  • 「あのね、ゆりか。冷静に聞いてね。私はさ、ゆりかみたいに東京に出ているわけじゃないから、地元の情報に詳しいのよ。
    あと、結構このデパートも今でも使っているし。でね、今から2ヶ月前、ゆりかがさっき使っていたトイレでね……」

  • 私は由紀がここで言葉を詰まらせた事にすごく嫌な予感というか、奇妙な感覚を覚えたの……。
    でも続きが聞きたくなって話してもらったの。

  • …。

  • 「ゆりか、赤い服の女性が出てくるはずなのに出てこなかったって言ったわよね。
    あのね、約2ヶ月前に、あのトイレで赤い服の女性があのトイレの小さな窓から身投げをして亡くなったのよ。
    恋人にひどいフラれ方をして……だったそうよ。」

    って……。

  • ガクガクガクガクガクガク……。

  • ……。

  • 怖いな。確かに怖いけれど、悲しいお話でもあるな……。

  • み、みんな!
    この企画、やめた方がいいと思うし!
    今から美少女フィギュアの100物語にしないかし? 

顔ww
  • 馬鹿かお前は!!

  • はい、まずは私のお話一つ目の終わりよ。
    ロウソクを消すわね。
     
     
    フぅーーーーーー。

  • 絶対にやばいし、何か嫌な予感がするし!
    すでにこの部屋には悪魔、悪霊が入り込んでいる。
     
    いや、見張っている気がするし!! 

  • うるせえやつだな……。
    もともとお前が提案した事なんだからな。
    ちゃんと最後まで、最後のロウソクを消すまで付き合ってもらうぞ!
     
    さて、次は俺の番だな。

  • 私の話を越えられるかしら?

  • 確かに、ゆりかの話は実話だし、やばかったよな……。

  • ガクガクガクガク……。

  • よし、それじゃあ話すぞ。
    まずは2本目のロウソクに火をつけてっと。
    おお、ユラユラと美しいな。そして、美しさの中にも、なにか訴えているような意思を感じるな。

  • ロウソクの火は何も訴えてなんていないし!
    変に擬人化するのはやめて欲しいし!!

  • わかったわかった。 じゃあいくぞ。

  • …これは俺が何年前だったかな、ええっと、あの雑誌の担当をしていた頃だから、9年前?くらいだな。
     
    ええとな、俺がライターである有名な雑誌の記事を担当していて、その時は夏の企画で日本各地のお祭りの取材をやる事になったんだわ。

  • ローソクにうつるサトルくんの顔、怖いんだよ…。

  • 仙台の七夕祭りのような大きなお祭りから、本当に地方の田舎の集会レベルの小さなお祭りも取材をしていたんだよ。
    でな、ここでは迷惑になってしまうから具体的な地名は出さないけれど、某、落花生とかが有名な県の、海沿いでなく山奥のお祭りを取材することにした。

  • すでにヤバイ雰囲気プンプンだし!!

  • 最初はそのお祭りを取材したいと企画会議に出したら、猛反対にあったんだ、そんなお祭りは聞いたことない!ってな。
    でも、知り合いが是非取材をするべきだというのでなんとか押し通した。
     
    でもな、そのお祭りの情報というのはネットがそこそこ世間に浸透してきた当時でも、全くというほど情報がないような、本当に小さなお祭りらしかった。

  • そんなとこ行くなし!!

  • で、で、俺がライターで、他に編集者とカメラマンの三人で内房線に乗ってある無人駅で降りた。

  • サトル、思いっきり「内房線」って言ってるけど……。
    それって、バレバレなんじゃ……?

  • まあまあ、そこはモヤっとさせておこうや。
     
    森田健作県知事に怒られちゃうから。
    でな、その無人駅に着いたのが大体午後17時くらいだった。
    もう夏の終わりだったので、うっすらと陽が沈み、聞こえる音といえばヒグラシのカナカナカナカナの声、そして風がススキを揺らす音だけだった。

  • …雰囲気出すなし…。

  • 当時はまだスマホで地図なんてないし、そこは携帯の電波もろくに通じない場所だったから、駅に着いたのはよかったんだが、どう歩いていけばお祭りをやっている場所に行き着けるのかは全くわからなかったんだわ。
    だから、編集とカメラさんとで話をして、この細い道をいけばいいんじゃないですか?等と本当に「なんとなく」の雰囲気で歩いて行くことにした。まあ、実はそういう探検気分も楽しかったしな。

  • あぶないなぁ…。

  • どれくらい歩いたのかな、30分くらい? だったか、辺りは暗くなり、一応念のために持ってきた懐中電灯が役に立つ時間になっていた。
    でも街灯もない獣道のような道はあまりにもその懐中電灯は頼りなく見えて、本当に足元と、数メートル前を照らすのが精一杯だった。

  • なんだか雰囲気が江戸川乱歩みたいになってきたな……。

  • 正直、最初はサバイバルだ! なんて意気込んでいた俺たち三人もだんだん不安になってきた。
    だって考えてもみろよ、俺たちは別にキャンプのような装備も持ってきていないし、テントもない。持っているのはリュックにお菓子が少しとペットボトルが数本。
    もしこのままお祭りにも着かず、迷ってしまったら……。携帯も通じない……。

  • 男子ってそういうバカな冒険したがるわよね…。

  • 最悪の場合、「雑誌の取材班が山で遭難!」みたいな記事が新聞の一面を飾るということも本格的に想像できるようになってきた。
    そんな事を考えていると、突然カメラマンが「うわっっ!」と声を出した。

  • ぎゃああああああああ!!
    驚かすなし!!

  • お前の声の方がびびるわ!

  • …で、「どうしたんですか?!」と聞くと「今、横に人のようなものが見えた気がしたんです!」 と、ものすごい恐ろしい事を言ったんだ。
    でも、どこかで人間が住んでいるのなら助かった! という気持ちもあった。

  • そして、そのカメラマンが人のようなものを見たという場所を懐中電灯で照らすと、二体のお地蔵様が静かに立っていたんだ。
    お地蔵さんってな、昔話とかで聞いたり読んだりするとすごくハートフルというか、ほんわかした存在だけれどな、こういう状況で急に懐中電灯の奥に現れたお地蔵さんほど怖いものはないぞ……。

  • …。

  • 懐中電灯に照らされたただしの顔もじゅうぶん怖いけど…。

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