第2話

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ただしが黄河文明に興味を持ったようです 第2話

人の生活と神話の話だし 世界史や龍山文化,卵殻黒陶高柄杯を交えながらわかりやすく解説

2016/02/28

小野小餅

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  • 黄河文明に迷い込んだ二人。では、ただしさんの命運は後に回して、色々見て行く事にしましょうか。

  • そうだな。折角の機会だからな。

  • 後でどうなるんだし、ボク…

  • 大モン口文化も後半になるとかなり生活も豊かになったようで、酒器に宝石で装飾を施した物も多数出土しました。

  • 象牙加工なんかももうやってたんだな。

  • こういうのこそ持って帰りたいもんだし。

  • お前は、命より金なのか。

  • いや何でもないですないです。

  • この辺りで既に、農業狩猟といった第一次産業に加えて、陶芸や玉石加工の第二次産業が専門化されて定着していた事が伺えます。

  • なるほどー…土器からそういう社会も見えて来るのか…

  • 大モン口文化で花開いた黒陶は、続く【龍山(りゅうざん)文化】で大きく発展し結実する事になります。

  • 卵殻黒陶高柄杯だな。

  • 乱獲黒糖公平廃?

  • お前今適当な当て字入れただろう。

  • いやだってわかんない、わかんないし専門用語!!

  • 卵殻黒陶ってのはな、「ろくろ」を使った高等技術でタマゴの殻のように薄い土器なんだ。1mmにも満たないような薄さでも水も漏れないっていう大変な技術なんだよ!

  • 「卵殻黒陶はめ込み高柄杯」とも呼ばれますね。特に薄い部分は0.5mm弱で、龍山文化でも最高水準の逸品と言われています。

  • 職人すっげぇし…。そういえば周りの景色もちょっと変わってきた感じだし?家が何か立派になってきたし。

  • 日干しレンガだなこれは。

  • 土を掘ってつき固めた基礎に、日干しレンガで壁を建てました。この技術によって定住化が進み、人々が更に集まるようになって、いよいよ都市化が始まります。

  • 今までは堅穴式の簡単な家ばかりだったのにー

  • あっちには城壁があるぞ。領土の概念が確立してきたんだな。

  • 都市化が進み、住居として安全な地帯が明確に区切られるようになり、ますます人が集まるようになりました。人が集まると様々な職業も生まれてきます。祈祷や占いを専門にする人々も出てきました。

  • 雨乞いとかは今までもやってたような気がするし。

  • 【卜骨(ぼっこつ)】と呼ばれる動物の骨を使った占い道具が出てまして、お天気祈願などとはまた違う、個人的吉凶を占うという風習の確立ですね。亀の甲羅を使う「亀甲占い」等は現代でもメジャーに知られているのではないでしょうか。

  • ああ、聞いた事あるし、亀の甲羅で○×ゲームする…

  • ちげーよ。火にくべて割れ目を見るんだよ。しかし、占いや神職は古代から大事だったろうとは思うが、それ専門で仕事に出来るってのは、かなり豊かな都市だったんだろうなぁ。

  • そうですね、家制度も確立、私有財産の概念も出来て社会に階級が出来ました。

  • 社会ってこうやって出来るんだしー…。

  • そうなってくると貧困層の不満や反乱を抑えるためにも福祉制度が必要になって、私財の一部を一箇所に集めて再配分するシステムが必要になってくる。王権制度の原型だ。

  • そうやって集団がなるべく秩序を保てるようにと作り上げられたのがこちら。BC2500年からBC1900年にかけて栄えたとされる、山西省襄汾県の【陶寺遺跡】です。

  • 都だー!!

  • 王宮と言っていいかどうかは研究次第な所はありますが、少なくとも統治者の館、周辺には貴族階級の方々の館、更に周辺に平民居住区。世界初とされる天文台もありました。

  • 天文台も!?

  • ああ、ついこの間記事になってたな。「伝説の堯の都は実在した!」みたいな感じで。

  • ぎょう?

  • 中国神話の五帝の一人だ。暦を作り、善政で民に慕われ、当時10個あった太陽のうち9個を射落として現在の一個にした。

  • どう聞いても神話だしー

  • 荒唐無稽な神話でも、モデルになるような人物は居たという事でしょうね。というわけで、特別ゲストで堯氏のモデルらしいこの時代の王様においでいただきました。

  • ニーハオこんにちは怪しいお客人。手ぶらで何しに来たアルか。

  • 中国人だからって無理してそういうしゃべり方しなくてもいいんだし…。

  • うむ、そうか、サービスのつもりだったんだが。

  • お気持ちだけいただいておきます。で、どうなんです実際のとこ。堯さんなんですかあなた。

  • おじさんはおじさんだよ、王様って位置付けだけどさ。そんな名前は後世の人がそっちの都合で名付けるんだもん、おじさんわかんないよ。

  • おい大丈夫かこのおっさん。

  • 失礼な事言っちゃダメだし、ボクはこのおじさん何か親近感わくし。王様ってこうやってのんびりしてるのが仕事みたいなもんだし!

  • 解ってるねぇ兄ちゃん。実際おじさんが大忙しで働かなきゃならない事態ってのは、皆が不幸な時って事さ。まあ、稲作始めてからは作業配分やら備蓄管理やら農地開拓指示やらで細々と忙しいんだけどもさ。

  • 稲作…米作りもこの頃から始まったのか。

  • 米いいよね米、粟よりおいしいし栄養あるみたいで人口どんどん増えるし。ただ旱魃に弱いから毎年の備蓄管理や天体観測大変なんだけど。水源確保もちゃんとしないとすぐ暴動になるし。洪水も怖いし。

  • 結構マジメに仕事してるし…

  • おじさんやる時はやるんだよ。めんどくさい事は占いに任せちゃうけど。

  • あれ?

  • だって大きい事なんかはさ、おじさんが「こうしよう」って言うより「カミサマがこう言ってるよ」って言うほうが説得力あるでしょ。

  • あー…、神事ってやっぱそういう所から始まるんだよなぁ。

  • まあ、だからこそ後の時代でおじさんが神様の子孫っていう神話になるんだろうね。

  • なるほどだし…神話でも何でも、必要だからそうやって出来たって事なんだしねぇ。 あ、所でおじさん、これボクが後の時代で壊しちゃった物なんだけど、見た事ないかな。

  • おっと、本来の目的はそれだったな。

  • んー?見た事がないねぇ、なんだいこの絵。

  • 漢字だし!

  • まだ漢字は出来てないんだな。

  • えっ、これ文字なの。へー…いいなこれ、うちでも使ってみようかな。

  • あれっ、何か今歴史改変の予感がしたんだが。

  • この時代にも漢字の原型と言える象形文字が使われていました。多分そこに混じってしまうでしょうから大丈夫だと思うんですが…

  • 「王菲愛」…っと。日記の木簡に書いて…。

  • 待ておっさん、今何書いた。

  • えっ、そこの兄ちゃんが見せた文字だけど…

  • ただし!!見せろ!!

  • えっ、こ、これ?

  • …マジか…マジでそう書いてある…。

  • え、これ、どういう意味だし…?

  • 「フェイ・ウォンちゃんラヴ」

  • …フェイ・ウォンちゃん…ラヴ…。

  • …フェイ・ウォン…綺麗だもんな…

  • …うん…ボクも好きだし…。…っていうかどういう事だってばよ!!!

  • これは…もしかしたら教授の私物で…フェイ・ウォンの…ファングッズで…

  • つまり…、考古学の資料でも何でもなくて…

  • うむ…。

  • ボクは追いかけられ損ってわけだし?!

  • お前が「難しい漢字」とか言うからだろう!?「王菲」ぐらい読めろよ!!

  • ボクのバカさ加減を侮ったサトルが悪いんだし!!!

  • 自慢げに言うなあああ!!!

  • …あー…これ、おじさんどうしたらいいのかな。

  • お騒がせして申し訳ありません、責任持って元の時代に送り返しますので…。本日はご足労いただきありがとうございました。

  • はいはい、じゃあまたね。

  • 殴り合いしてる間におじさん帰っちゃったし…。

  • しまった、折角だから風習についてとか色々聞いておけばよかった…。

  • 龍山文化はこの後、【二里頭(にりとう)文化】へ続き、新石器時代から青銅器時代に移ります。そしていよいよ【夏】王朝になって、中国史が始まる事になります。

  • まあ、思いがけず黄河文明を満喫出来たのはいい体験だったかな…。

  • あれっ、そういえば中国には長江っていう大きな河もあるんだし?そっちには文明って無かったのかし?

  • いえ、長江にもたくさんの文化が存在していましたが、それは又の機会にお話しましょう。そろそろ帰らないと、教授が心配なさってますよ。

  • そうだった…どっちみち教授の私物を壊してしまった事には変わりないんだった…。やはりここはただしの首を…

  • そんなに大事なの!

  • おわり

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