第1話

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ただしが魔界転生して孔子になってしまったようです・シーズン1 第1話

孔子ってどんなやつだし? 孔子や中国古典,論語を交えながらわかりやすく解説

2016/08/03

鉄道王太郎

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孔子 中国古典 論語 人物 思想 古代思想 中国

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  • 皆さんは孔子をご存じですか?歴史好きはもちろん、ビジネスパーソンなどにも好まれているらしいです。今回から孔子がわかるコンテンツをはじめます。

    そんなわけで…なにやら、ただしの様子がおかしいようです。

  • なあ、最近、ただしの様子がおかしくないか?

タイトルで釣られたw
  • ただしがおかしいのは、もともとの性格よ。 それがあの人のいいところじゃない! 否定しないであげて! ありのままで、いさせてあげて!

  • や、そうは言ってもだな。

  • たしかに、最近ただしはめずらしくやる気を出して、バイトの面接にいったけど、全部落ちたって聞いたわ…… 就職活動の時期を「なんか、怒られそうだから」という理由で回避し続けた男・ただしが やって社会と接点を持とうとしようと前向きになったのに……前向きになったのに!

  •  社会め! 社会が全部悪いわ!

  • まあ、ただしはある意味素直な性格だからな……。このくさった現代社会じゃ、ただしの生きる価値は……。 よし、ちょっくら励ましに行こう!

  • ……あら、噂をすればただしよ!

  • ……だし。「郷原はの賊」……だし。

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  • どうしたのただし? 頭につけているヘンなかぶりものは何? 寝癖が固まって、オブジェになったの?

  • 「麻冕(まべん)は礼なり。」……だし。

  • ……どうした?

  • されど、「今や純(いと)なるは倹(けん)なり」……今や、絹の冠の方が経済的だ……。私はそういった合理性は人々に習いたいと思っている。だし。

  • どっ、どど、どうしたんだ、ただし! たしかに中古来の伝統的な礼拝では「麻の冠(麻冕)」を被る方が古からのしきたりに合っているが、技術革新が進み絹の冠が安く製造されるようになって倹約になるからといって、それを「礼」と認めてもいいのか、ただし!

  • どうしちゃったのよ、しっかりして!

  • 「下に拝するは礼なり。今、上に拝するは泰(おごれる)なり。衆に違うと雖(いえど)も、吾は下に従わん。」……だし。

  • ??? ねえ、わかんないよ、ただし。 私、「典型的なおバカな女子」っていうところで銭を稼いでパン食べてる自分に自己嫌悪しない程度の幸せな女子だから、難しい事言われると「あ、この人難しいこと言ってるなー。よーし、ネイルしよ♪」って思っちゃう程度の女子だから、わかんないよ!

  • ただしは……こう言っている。 物質的な理由で細かな儀礼を変更するにしても、その精神が失われていなければそれを受け入れると。 でも「上に拝する」、つまり「目上の人に対等な立ち位置で挨拶を交わすようなこと」は、たとえ時間短縮の合理化であっても「礼」としては認めない、と。

  • おねがい、わかんないから、かわいいもので例えて! ペンギンで例えて!

  • おぺんぺん! おぺんぺんぺんぺーん、小おいしいパクパクパクー! イカも最近沢山取れるからイカおいしいたべちゃうーおぺんぺんー。全く問題ないペーン。 でも、ごちそうさまをきちんと言わないやつはぶん殴る。ペン!

  • よく、わかったわ

  • (一瞬、虚無。この間にサトルは、「なぜ今自分は生きているのだろうか」と自分に問いかけていたのだった……)

  • 「鳥獣は与に羣を同じくす可からず」……だし。鳥や獣じゃないんだ……。私たちは、人間と交わっていかねば……だし。

  • …な…なるほど。

    ただしは今、「孔子」に精神を乗っ取られているのだな!

  • なんですって!

  • つまりこういう事さ。 極度の就職難、バイト面接に受からない困難に直面したただしが精神崩壊しているところに、天草四郎があらわれて、ただしの肉体に孔子の魂をぶちこみ、魔界転生させてしまったというわけさ。

  • ……いかにも。だし。 我は、姓は「孔(こう)」、名は「丘(きゅう)」、あざ名(魔除けニックネーム)は「仲尼(ちゅうじ)」である。だし。

  • キューちゃんと呼べばいいのかしら

  • 普通は「子」つまり「センセイ」という呼び名を付けて「孔子(こうし)」と呼ぶのが一般的だな。つまりは「孔センセイ」という意味さ。

  • へー、いったいどんな人なの?

  • 「憤りを発して食を忘れ、楽しみて以て憂いを忘れ、老いの将に至らんとするを知らざるのみ。」だし。

  •  んん……? おじいちゃんだから、ご飯食べたの忘れちゃったの?

  •  ハマったものがあるとご飯を忘れちゃうくらい熱中して、楽しい事を思い出してイヤな事を忘れ、「もう結構な歳なんだよなあ」っていうのを忘れてるようなおっさんですよ、と。

  • イケイケじじいって感じね。素敵な自己紹介じゃない。

  • 孔子は中国の「儒教」の始祖と言われている。儒教とは中国の哲学というか、信仰と言うか……「礼儀」だったり「考え方」や「こう生きるといいよ」という方針みたいなものなんだけれど、それをまとめたのが孔子って呼ばれているんだ。

  • 具体的には何をした人なの?

  • 「子、曰く」をしていたし。

  • ……いわく?

  • 簡単に言うと、呟いていたのだな。

  • ……ツイッター?

  • まさにそれ。当時孔子には何千人と弟子たちがいて、その弟子たちが孔子の言葉を記録して一冊の書物にまとめていたのさ。それが「論語」と呼ばれる書物さ。 だいたいが「子、曰く(先生がおっしゃった)」という文章で始まっているのが特徴さ。

  • いや、ツイッターって……。具体的にはどんなことしてたのよ。平日とかは。

  • 就職活動、だし。

  • 就活……。

  • 孔子はその政治知識や祭祀の実行係というスキルをもって、中国の各地の国々に自分を政治家として売り込みに行っていたのさ。 当時の中国は春秋時代(紀元前722年から紀元前481年)。「周」という大きな国が力を失い、各地の有力な王たちが国の覇権を争っていた乱世だった。  当然、世の中の心は荒廃し、礼儀作法や人として生きる道が廃れつつあった……。孔子はそんな時代に、「君子(素晴らしい人格者)であること」や「(やさしさとおもいやり)」や「徳(素直で心の広い純粋な気持ち)」の大切さを訴えていたのさ。

  • でも、そんな時代に、そんなお花畑な思想で就職活動したら……

  • ……「天下の道なきこと久し。天は将に夫子(ふうし)を以て鐸(ぼくたく)と為さんとす」と言われた時は、うれしかったし……。

  • 孔子はその人生のほとんどすべてを、就職活動のための放浪している。だが、どこの国でも孔子は正式採用されなかった。されたとしてもすぐに追い出されてしまったり、窓際社員に追いやられてリストラされてしまったりして……。

  • なんかわかる気がするわ。

  • でもファンは多かったみたいだ。先ほどの「木鐸」のエピソード。これは就活を失敗してまた放浪の旅に出る時、ある街の門番に「あなた(孔子)は就活に失敗したけど、天の神様はきっと、あなたという人物を世の中全ての人間に教えを触れ回る、木でできた楽器にしようとしているんだよ!」と励まされたエピソードなんだ。

  • 木でできた楽器って……カスタネット? 就職浪人でツイッタラーで、担当楽器はカスタネットって、なんだか……

  • な? 素晴らしい人だろう?

  • ……そうね

  • 「わが道は一つをもって之を貫く!」だし!

  • うん、そうね。貫くといいわね。

  • しかし、あのただしに孔子が魔界転生するとは……。

    いい機会だ、先生! 我に道を! 道をおしめしください!!

  • ちょ、ちょっとサトル! こんな道のど真ん中で土下座なんてやめなさいよ! よく考えて、この人は就職浪人なのにやたらフォロワー数の多い、ただのカスタネットよ!

  • うるさい! ぼ、僕もまたこの現代の東京砂漠で……生きるとは何かを見失っちまった、哀れな子羊なのさ……。 今必要なのは、孔子の思想だよ、いきる道しるべだよ!!

  • (あかん……サトルの目は、インテリに良くありがちな、知識はあるのに現代社会に適応できなくて、ぽっきり心が折れちまった24歳くらいの文系の大学院生の目をしているッ……)

  • ふうむ……さあらば……

    「父母在せば、遠く遊ばず、遊ぶに必ず方あるべし」だし!

  • おお、なるほど!!

  • どういう意味?

  • 「お父さんお母さんと同居してるんだったら、あんまり遠くに遊びに行かず、もし行くなら、ちゃんと連絡先を教えなさい」って……嗚呼、孔子先生、なんてありがたいアドバイスなんだ……。さっそくパパとママにラインするよ!!

  • なんだこれ。

  • そしてただし、いや孔子先生! 俺を弟子にしてください!!

  • オッケーだし。

  • なんだこれ(再)。

  • かくして、孔子になってしまったただし。 サトルはただしを崇拝するあまり、弟子になってしまった……。

    いったいこの後、ただしたちはどうなってしまうのだろうか?

  • つづく

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