第1話

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ただしが水木しげる先生を知るようです 第1話

水木サンは苦労人だし! 水木しげるやゲゲゲの鬼太郎,ニューブリテン島を交えながらわかりやすく解説

2016/02/01

中本二郎

7

水木しげる ゲゲゲの鬼太郎 ニューブリテン島 まんが 紙芝居 貸本漫画 漫画家 第二次世界大戦 妖怪

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  • ただしが泣きながらサトルに話しかけています。どうやら、先日惜しくも亡くなった水木しげる先生を偲んで嘆き悲しんでいるようです。

  • うっ、うっ…

  • また腐ったカツでも食って腹こわしたのか?

  • …違うし。 尊敬する水木しげる先生が亡くなったのをまだ引きずってるんだし。

  • あぁ。 それは確かにおれもショックだったな。 でも、もともとあの世とこの世を又にかけてるような人だったからな…。

わかる
  • もう鬼太郎とはさよならなんだし…。

  • 鬼太郎は永遠だろうが。 そもそも、水木しげる先生って鬼太郎以外にもいろいろ残しているのを知ってるのか?

  • 知らないし…。 鬼太郎にはおおいに影響されたんだし。 学校も試験もなんにもない世界に憧れた結果がこれだし…。

  • …。

    おまえ水木しげる先生について何も知らないんだな。 まず、鬼太郎についてもよくわかってないだろ。

  • 知ってるし! 子供の頃、アニメで観てたし。 ゲゲゲのゲーだし。

  • その歌は誰が歌ってた?

  • えーとあれは、吉幾三だし!

  • 吉幾三は第三世代かな。初代は熊倉一雄さんだ。 他にも滝口順平、子門真人などいろんな人がカバーしてる。

へー
  • へー、そうだったのかし。

  • 鬼太郎について語るには、水木しげるが5歳の頃に遡らねばならない。

  • 90年前かし! どんだけさかのぼるのかし!

  • うむ。先日93歳で亡くなったから、まさに約90年前だな。 1922年に大阪で生まれた水木しげるは、父の故郷の鳥取県西伯郡境町というところで育つ。 そこで、乳母としてしげる少年を育ててくれたのが、「景山ふさ」という人で、後に、のんのんばあとオレというドラマにもなった。

  • 知ってるし!NHKでやってたし!

  • うむ、この頃に、のんのんばあに教えられた妖怪の話が原点となっている。

  • 鬼太郎の原点はここなんだしね。

  • 絵の好きだったしげる少年は、高等小学校を出てから、旧制中学校に入ることはできずに、父を頼って大阪に出ることになる。 ちなみに、子供の頃から自在に屁を出すことができて、朝礼の時などに出して周りを笑わせてたという。

ワロタ
  • ふむふむ、この時点でもう、妖怪とエンタメの素養は入ってたんだし。そして小卒なんだしな。

  • うむ。この後もいろいろ、美術学校に入っては兵役に取られたり、貧困で中退するなどして、最後まで小卒のままだった。

  • なんだか勇気がわいてくるし!

  • 時は第二次世界大戦に突入しようとしていた。 20歳になり、徴兵検査を受けることになった。

  • あぁ…暗い時代なんだし。

  • 近眼のため兵器の補充などにまわる乙種合格となっていたが、戦況が悪化してきて、中3で入営となる。死を覚悟した水木少年は、宗教書や哲学書を読み漁る。これも、のちの作品に死生観を付け加える影響となる。

    入営とは
    軍務に就くために兵営にはいること。
  • すべては作品につながっていくだしね。

  • 老朽船でラバウルに上陸してからは、まさに地獄の日々。 そもそも戦地にたどり着く前に撃沈されることがほとんどだったから、上陸してから上官に「ここはどこでありますか」と聞いてビンタをくらったという。

  • ビビビビビビンだし!

  • そう、砂かけばばあのビンタも、この南方での体験がになっている。

  • 鬼太郎はまだまだ先なんだし?いつ漫画描いてたんだし??

  • 漫画家になるのはまだまだ先の話だ。 ニューブリテン島での機銃掃射を受け、原住民の襲撃からも逃げながらふんどし命からがら部隊に戻った水木サンに対し、上官は「なぜ死ななかった、死に場所なら見つけてやる」とのたまった。

  • ひどいし。

  • この体験が、後に戦記ものとしてリアルに多く描かれたり、作品の世界観に大きな影響を与える。 さらに、マラリアに罹り、療養中に爆撃を受け、左腕を切断する。

  • なんと……戦争はむごいし……

  • うむ、利き腕じゃなかったのが不幸中の幸いとなった。これが逆だったら、その後、漫画家として花開くことはなかったかもしれない。

  • …奇跡なんだし。

  • 傷痍兵となった水木サンは、前線からは外されて少し余裕ができ、島の原住民と交流が生まれ、仲間として迎えられたりもした。

  • へえ! すごいんだし。 日本の植民地支配なんて憎まれてるんだと思ってたし。

  • 比較的、太平洋の暖かい地域ではこのような事例も多くある。 満州など寒い地域での支配は当然、規律も厳しくせざるを得ないから反発も強くなるのは当然と言える。

  • なるほどだし。

  • そしてこの地で終戦を迎えるわけだが、原住民のトライ族から農地をあげるからここで暮らさないかとまで言われる。

へー
へー
  • そこまで気に入られてたのかし…!

  • うむ。 こういった原住民との体験も、のちの作風におおいに影響を及ぼしている。 鬼太郎夜話のラストは、鬼太郎が南の島で原住民と幸せに暮らす、という話になっているんだ。

  • へえ〜!! 水木サンの願望そのものなんだし。

  • 鬼太郎はもともと、悪い妖怪を退治する、というのではなく、妖怪と人間のあいの子として、人間との間に立つ存在だったんだ。

  • そうなんだしなー。 今のアニメの鬼太郎とはまったく別物なんだし。

  • 別物もいいところだ。 鬼太郎の初期作品、墓場鬼太郎の最初のシーンは、鬼太郎が墓場から這い出すところだからな。

  • グロすぎるし…。

  • 実際、雑誌でもグロテスクすぎるてNGとなりかけたが、一読者の手紙が出版社の社長に届いて、そのまま続けられることになったんだ。

  • 神がついてるとしか言いようがない人生なんだしな。

  • まさに、水木サンは後にこう語ってる。 「世の中に『魔が差す』という言葉があるが、『神が差す』ということがあってもいいはずだ。」と。

  • 妖怪のしわざなんだし。

  • 帰国後の水木サンは、闇市で商売をしたり、傷病兵の会に入って寄付を集めたり、魚屋をやったり、タクシー業をやったりしてなんとか生きる道をみつけようとしながら、絵への思いは捨てられず武蔵野美術学校に入学する。

  • 今のムサビなんだし?

  • そうだな。しかし、それも絵で食べていく厳しさをも思い知り、結局中退してしまう。 前に言ったように、卒業したのは小学校が最後。

  • うーん… 水木サンほどの天才でもこれだけ苦労してるとは、厳しい時代なんだし。

  • そうだな。 そんな折、募金旅行の途中で泊まった神戸の安宿を格安で買わないかと打診される。 これまでの仕事で集めた資金をかきあつめ、そのアパートを買って大家業を始めることになる。

  • すでにかなり壮絶な人生だし…
    しかし、漫画家はどうなったんだし……?

  • まだまだだよ。しかし、そのアパートの名前が、水木荘。これが、後の漫画家としてのペンネームのきっかけになるんだ。

  • そもそも、これまでは水木サンじゃなかったんだし!!

  • 大家業も、店子が変人ばかりでなかなかうまく家賃が集まらなかったが、その中に紙芝居屋の弟子がいた。 彼に紹介してもらって紙芝居作家の道をみつける。 この時、水木サン29歳。

  • 29歳でもまだ漫画家デビューしてないんだし!!

へー
  • 水木サンの作品は、内容がゲージツ的すぎて評価されなかったが、まとめ役の活弁士・鈴木勝丸が気に入って、その後独立してからも水木サンを引き立てていった。墓場鬼太郎のストーリーも彼が示唆したと言われていて、事実上、水木サンの師匠と言える人だ。この人が、いつまでも水木サンの本名を覚えずに、水木サンと呼びつづけたことから、水木しげるがペンネームとなる。

    活弁士とは
    まだ映画が無音だった時代、話ににあわせて映画の説明をする人がいた。活動弁士
  • 漫画家じゃなくて活弁士が師匠だったんだしね!! 活弁士なのに名前おぼえないってちょっとどうかと思うし!

  • のんのんばあ、ニューブリテン島の先住民、そしてこの鈴木勝丸さんがある意味師匠だな。 アパートを売り払い、「空手鬼太郎」「河童の三平」など後の漫画につながる作品を書きながらも、紙芝居から貸本・テレビへと娯楽の主役は移ってゆく。

  • なかなか安定しないだしな。 でも、漫画家デビュー前夜という感じだし。

  • そう。35歳にして、「ロケットマン」という貸本漫画で、ついに漫画家デビューするのだ!

  • やっとかし!!
    35歳!遅咲きなんだし!!

へー
  • 第二話に続く!

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