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リビドーという言葉を聞いたことがあるでしょうか。一般的には性的衝動や性欲といった意味で使われていますが、実際にはもっと深い意味があるようです。常にリビドーに振り回されているただしは…
ただしがムラムラして仕方ないのでリビドーを抑えたいようです。
リビドーをなくしたら生きる気力が無くなったし…。 リビドーやフロイト,煩悩を交えながらわかりやすく解説
2016/12/26
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はーーー…銀杏BOYZのリビドーはいい曲だし!
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なんだ、バンドの紹介か。
最近多いな。それにしてもお前にしてはいいバンドに目をつけたな。銀杏BOYZってのは…
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そんなウンチクは聞いてないし。
この、理屈じゃない衝動!って感じがいいんだし。
僕の中から湧き上がるなんというかこの…ブヮーーーーって感じにぴったりなんだし!
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それこそ、いわゆるリビドーってやつだな。
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これがリビドーなんだし??
リビドーを聞いてリビドー状態だし!
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まぁ、どっちかというと本来的な意味でのリビドーだな。
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なんか、もっとエロエロな意味だと思ってたし!
銀杏BOYZの歌詞もエロエロだし!
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そうだな。だいたい、リビドーっていうと、性的衝動とか性的欲求っていう意味で使われている。
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そうだし!
なんかこう…毎日ムラムラするんだし!
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…そうなると、本来的な意味でのリビドーとは離れてくるんだけどな…。
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どういうことだし!
僕はリビドーが抑えられないから、毎日の自分磨きは欠かさないんだし!
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自分磨き…?
そんな立派なことやってたか?
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自分磨きっていうのはその…自分の一部を磨くことだし!
中2のときに目覚めてから一日も欠かしたことないし!継続は力だし!
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…
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でも、自分磨きを控えようと思ってるし…。
リビドーを消し去って、自分磨きを断つとモテるって聞いたし。
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よくネットで言われる迷信っぽいやつだな。
真偽の程は不明だが。
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僕は今世紀最大の一大決心をするし!
自分磨きを断つし!! モテる男になって、そのまま自分磨きを卒業するんだし!
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…まぁ、勝手にしろよ。
そもそも、お前のはリビドーっていうより煩悩だな。
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リビドーもボンノーも同じようなもんだし!
きっと瞑想をすればいいんだし。瞑想の仕方を教えるし!
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…まぁその落ち着きのなさが少しでも改善されるなら瞑想はいいかもしれんな。
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サトルに瞑想を教わり、その日は家に帰ったただし。 そして一ヶ月後…。
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あんなこと言ってたけど、どうせ無理だったろうな。
煩悩の塊だから。
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…サトル〜
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うわっ!びっくりした。
いきなり後ろに立つんじゃねえよ。
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…一時間前からずっといたしー。
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怖えよ。幽霊かよ。
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あれから、サトルに教わった瞑想をしたら本当に自分磨きが止まったんだし。
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まじかよ…意外だ。
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なんだか、そしたら生きる気力もなくなってきたんだし…。
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ああ…なるほどな。
ユングいわく、リビドーは人間の活力だからな。っーかどんだけリビドーまみれだったんだ?
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リビドーリビドーって…リビドーって結局なんなんだし…?
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オトナの感情なんだし。僕もそんなリビドーに振り回されていたことがあったし…。
でも今となってはすべてが懐かしいし…。
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重症だな…。
でも、フロイトの言うリビドーはなにも大人に限ったことじゃないぞ。
口愛期や肛門愛期、つまり母親のおっぱいを吸ったり、初めてウンチをするときの赤ちゃんの感覚から始まっている。
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へぇ、そうなんだし。
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そう。そこに快感を感じないと、赤ちゃんはおっぱいを吸わないし、ウンチを出さないから死んじゃうだろ。人間は快楽があるからそれに従って生きるために行動するわけだ。
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なるほど、わかりやすいし。
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そして大人になっていくにつれ、男根期、潜在期、性器愛期と発達して、次第に性愛の対象になってゆく。つまりこれも、快感が伴うからこそ人間が生存、人類が存続するための本能が湧くということだな。
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そういうことだったし…。
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そこから、フロイトの弟子のユングはさらに概念を広げて、心的エネルギー全般をリビドーとしたんだ。
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ほえー、フロイトさんは人間の原動力はエロって言い切ったけど、お弟子さんのユングさんはもっと全般的なものって言ったってことだし。
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…まぁ、超ざっくり言うとそんな感じだな。
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…じゃあリビドーは愛ってことだし。
僕はもう愛を失ってしまったし…。愛なき天使とは僕のことなんだし。
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愛とはまた違う。アガペーやエロスともまた違う概念だ。
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そうなのかし…。リビドーとかボンノーとかアガペーとかよくわからないし。
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リビドーは、ここまで説明したように、精神分析学のフロイトとユングによって表に出たわりと新しい概念だ。
でも人間の根本は大昔からそう変わらないから、学問以前の宗教の時代から、人間の性愛をどうとらえるか、ということはどの宗教でも重要な問題だったわけだ。
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ふむふむ。
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キリスト教においては神は絶対だ。
アガペーというのはキリスト教において、神による人間への、自らを犠牲にした愛。
だから、信じる者は救われるんだ。神による絶対的な無償の愛だからな。
古代ギリシャ語まで遡れば、無償の愛であるアガペー、兄弟愛、友情を指すフィリア、主に男女のエゴとエゴによる愛、それがエロスだ。
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エロスってそんなに深かったんだし…。
これまで深く考えずにエロスにおぼれていたんだし…。
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対して、仏教でいう煩悩というのは、お釈迦様の生き方を見ればわかりやすい。
インドの王族の皇太子として生まれて、その時代でいえば何もかもを持って生まれ、妻子にも恵まれた。
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…うらやましい話だし。
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しかし、お釈迦様は家を出てすべてを捨てて、執着を捨てる旅に出たわけだ。
つまり、生きる執着=煩悩を捨てることが、生きる苦しみから解放されることという、引き算の考え方だな。
だから、ほとんどの仏教の宗派では、出家といって家を出ることが第一条件とされるわけだ。対して、家を出ない人は在家という。
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そういうことだったのかし。
僕はこのまま出家するのがいいかもしれないし…。
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仏教の修行がお前につとまるとは思えないけどな。
そんな中で、お釈迦様の教えの中で、瞑想することを重んじているのが小乗仏教であったり禅宗だな。だから瞑想によってお前が煩悩を捨てられたなら仏教においては成功なんじゃないか。
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はあー、喜んでいいのかわからないし。
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心配しないでも、お前ごときが悟れるわけがないんだから、たまに瞑想でもして心をコントロールすればいいんだよ。瞑想も煩悩を「なくす」のではなく「心をつかみコントロールする」テクニックとして、うまく自分の中の獣を飼いならすのが健全な生きていく方法だな。
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そうだったんだし…。
ちょっとコントロールしすぎちゃったみたいだし。
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これまで瞑想とは無縁の人生だったからな。
もしこのまま戻らなかったら、いいお寺を紹介するからそのまま出家するのもいいんじゃないか。
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ありがとうだし。楽になったし。合掌、だし。
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そして一ヶ月後…。
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サトルー!
お金貸してくれし!!!
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なんだ、ひさしぶりに会ったと思ったら。
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もう出家するつもりになって、最後の名残にラーメン二郎をニンニクマシマシで食べたし!
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…。
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そしたら、しばらく忘れてたリビドーとエロスが大盛り、煩悩とアガペーマシマシで湧き上がってきたし!!
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野菜ニンニクアブラみたいに言うな!ジローとリビドーは違うぞ。
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…宗教も学問もふっとばす二郎、おそるべし。
※個人の感想です。