第3話

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ただしがエジプト文明に興味を持ったようです 第3話

パピルスパピルスプリリンパ エジプト文明やパピルス,中王国時代を交えながらわかりやすく解説

2016/01/10

小野小餅

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エジプト文明 パピルス 中王国時代 世界史 オベリスク アメンエムハト1世 メンチュヘテプ2世 ケティ一世 考古学 古代史

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  • すっかり先細りしてしぼんでしまった第六王朝に続いて、第七王朝、第八王朝がメンフィスで細々と続いたようですが、実態はあまりよく解っていません。BC2180年頃からBC2160年頃というわずか20年の間に、第七王朝で9人、第八王朝で6人(一説によると最大27人)の王が次々交代していたらしい、という話です。

  • うちのの総理大臣よりひどいだし…

  • この後はメンフィスのちょっと上流のほうにあるネンネス(ヘラクレオポリス)の有力州侯が王位を簒奪、第九王朝となりました。

  • 初代王【ケティ一世】くらいしか名前は残ってないが、このケティ王が悪逆非道でエジプト全土に災厄をもたらしたとまで言われた大変な暴君だった…という話だ。

  • 名前はかわいいのに…!

  • 最後はワニに食い殺されたってんだから相当な憎まれようだな。

  • 第七王朝からこの後の第十王朝までの間を「第一中間期」と呼び、王朝の中でも混乱続きの大変な時代だったと推測されます。そんな中で正当性を無視して権力のみで地方を支配しようとしたケティ王の行いは、他の州侯から見てもあまり良いものには映らなかったでしょう。そのために後から書き加えられた伝説であると思われています。

  • 嫌われてたのは確かなんだしー…

  • そこは否定しません。

  • してやれよ…

  • 民衆に愛されるのも為政者の務めです。さて、第九王朝の後はその基盤を継いだ第十王朝がそのままヘラクレオポリスに建つのですが、同時に、第九王朝時代に造反した更に南のテーベの州侯が周辺諸侯に呼びかけて別の王朝を建てました。これが第十一王朝です。

  • 南北朝時代だし。

  • どこの国でも辿る道は似たようなもんかもな。

  • 第十王朝と第十一王朝はしばらく同時に存在し、それぞれ下ナイル地方と上ナイル地方を平定するのに尽力して均衡状態を保っていましたが、BC2040年頃、第十一王朝五代目の王メンチュヘテプ2世が第十王朝を打ち倒して再びエジプト全土を統一しました。

  • これで140年に渡る混乱の時代が終わり、中王国時代が始まるわけだ。

  • 長かっただしなー。では次もまたバンバンピラミッド建てて行く方向でひとつ。

  • ピラミッドほど派手ではないですが、続く第十二王朝ではオベリスクがバンバン建ちますよ。

  • オベリスク?なんかゲームで聞いた事あるし。

  • 丁度あそこにあるな。細長い四角い石柱みたいな。

  • うおっまぶしっ!

  • 出来たてはやっぱり違うな。てっぺんの三角錐にとがった部分、あそこに金をかぶせて太陽神崇拝の象徴にしたんだ。

  • 金!?GOLD!?

  • その通り。シリアからヌビアまで支配権に置いていた王国だからな、金銀を初めとする鉱山資源は豊富だったんだ。

  • そんな豊かな国ですからあらゆる周辺諸国が虎視眈々と支配権を狙って小競り合いを続けている訳です。第十二王朝の祖となったアメンエムハト1世もヌビアの影響を強く受けていたと言われています。

  • あれ、でも第十一王朝は再統一果たしたりしてかなり人気の王朝だったんじゃないんだし?なのに全然別のとこから第十二って何でだし?それともその後がボンクラだったんだし?

  • いや、メンチュヘテプ2世は再統一後も十年弱は王位について芸術面の発展にも大いに貢献した名君だ。その後のメンチュヘテプ3世は即位した時はすでに高齢だったために在位期間が短くあまり資料は残っていないが、偉大な親父の跡をきちんと継いでいたらしい。

  • じゃあ何でだし?

  • 文学や芸術が大きく花開いた時代だったため、と言えるかもしれませんねぇ。メンチュヘテプ3世の後、数年の王位空白期間があったとされ、その間に政治を取り仕切っていたのが宰相アメンエムハトであり、後のアメンエムハト1世です。正しく簒奪者であるのですが、彼を正当な王位継承者であるとするための預言書じみた物語がたくさん書かれ、エジプト中で読まれ親しまれた事で、混乱せずに王権を移す事ができたとされています。

  • あー…なんか…こういうの知ってるし。プロパガンダとかそういうやつだし。

  • よくある話ではあるよなー…

  • 正当性を無視した結果どうなったかは、ケティ王が身を持って示してくれてますから必死ですよそりゃ。

  • 物語で思い出したけどエジプトと言えばパピルスだし!それもこの時代に発明されたんだし?

  • あれはもーちょっと前だった…っけなぁ

  • パピルスはBC3000年ごろには既にありました。誰でも気軽に買えるほど安い物ではありませんでしたけどね。

  • ほとんど王国の歴史と一緒だし…

  • あれもナイル川あってのものだしなぁ。

  • そうなんだし?

  • パピルスは、ナイル川下流、三角地帯の川岸に生えるとても背の高い植物で、王国建国の頃から大規模に栽培されていました。

    そうですね、今回はパピルスを作る体験をしていただきましょうか。

  • また肉体労働か…

  • 実学主義なんだし、天の声さんは…

  • オベリスク建てろって言われるよりいいがな。

  • まずはあの川岸のパピルスを狩り入れします。

  • でっかいし!!

  • 高さ何mだコレ!3mは下らないだろ!?

  • 大きい物は5mほどになりますかねぇ。

  • あ、でも面白いこれ、断面三角形になってる。

  • え、あ、本当だ。

  • まだ若い部分の茎や葉は食用にもなっていたんですよー。さて、刈り取ったら茎の中ほど部分を残して上下は別の工程に回しちゃいます。草履や帆船の材料などになったそうですよ。

  • 切ったしー。

  • 50cmほどに切りそろえたら、続いて皮をはぎます。中身に傷をつけないよう丁寧に。はいだら、その茎を更に薄くスライスしていきます。

  • スライスって…簡単に言うがこれは…

  • 難易度高すぎるし…せめてもうちょっと短く切ってから…

  • この長さが製品の大きさを決めるので、あまり短くするわけにはいかないんですねー。

  • 三角形だからスライスすればするほど、どんどん細くなって心もとなくなってくるな…

  • 何とか…スライスすんだしー…

  • この後は川の水に二日ほど漬け込み、発酵させて繊維を柔らかくします。

  • やれやれ、ちょっと休憩が出来るな。

  • 細かい作業は肉体労働以上にこたえるし…。観光がてらちょっとおいしい物でも探しに…

  • 発酵し終わった物がこちらになります。

  • お料理番組みたいだな…

  • 休憩時間がー

  • 続いて、フェルトの布の上に丁寧に並べて行きます。隙間のないように綺麗に揃えて下さいね。

  • 一枚敷いては父のためー…。

  • 二枚敷いては母のためー…。

  • 並べ終わったら、その上に直角にもう一度並べて行きます。

  • 三枚敷いてはふるさとのー…。

  • きょうだいわがみとえこうするー…。

  • 安心してください、賽の河原と違ってここに鬼は来ません。

  • 時々天の声さんが鬼に見えるのは気のせいだし…?

  • 言うな…。

  • 並べたらその上からもう一枚フェルトを敷いて、同じ作業を繰り返して二枚目を…

  • いやもういいです。

  • 一枚でいいです、材料も足りないし。

  • そうですかぁ。じゃあ、上から満遍なく木槌で叩いて繊維を潰して延ばして下さい。

  • 色々とこう思いをこめてひたすら叩くし!!

  • 何をとは言わないがこの理不尽な怒りをこめて!!

  • 乱暴にすると千切れてしまいますから丁寧にお願いしますね。

  • …もう、修行だしこれ…

  • 無心だ…無心にならねば出来ないんだ…

  • その後は重しを乗せて水分を抜き、更に一週間ほど陰干しします。

  • やっとできたー…

  • いえ、このままでは表面がでこぼこで書きにくいので、貝殻などで表面を削ってならしてなめらかにして、出来上がりです。

  • こりゃ大変な作業だな…

  • それでも羊皮紙よりはまだ手に入りやすく、木簡や竹簡より持ち運びしやすいので、中国で紙が発明されるまでは大変重用されました。

  • パピルスは英語の紙【paper】だけじゃなく、ビブロスとも呼ばれて聖書【bible】の語源にもなったんだぞー。

  • エジプト文明、すっごいだし!!!。

  • おわり

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