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バッティングセンターで汗を流している、ただしとサトル。
第1話
ただしがイチローに憧れて振り子打法にするようです 第1話
イチローはすごいし!! …なにがすごいし? イチローやプロ野球,ピート・ローズを交えながらわかりやすく解説
2016/06/24
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あー…もう! なかなか当たらないし!!
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そんな力むからだろ。 ボールをよく見るんだよ。
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こんな速いの見れないし! 感覚で振るんだし!
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そんなの当たるわけないだろ…。 こうやってバットを短く持って、ダウンスイングで振れば当たるだろ。
お前、腕も短いし。
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ぐぬぬ… そんなのかっこ悪いし。 バット長く持ってすくいあげないと長打は飛ばせないし!
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お前はまず当てることからだろ。 バントでいいから当ててみろ。
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バッティングセンターでバ・ン・ト!
って鳥居みゆきじゃないし!
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うわっはははははwww
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僕はイチローみたいにかるーく左中間に流し打ちしたいんだし!!
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ああ…それでさっきから片足でふらふらしてんのか。 ヤジロベーのモノマネかと思った。
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イチローだし! 僕だって野球選手であるからにはイチロー超えを目指すんだし!
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いつから野球選手なんだよw それじゃ草野球の選手にもなれんぞ。
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うるさいし!場末のバッティングセンターでも、気分はメジャーリーグなんだし!
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バッティングセンターに失礼だろ…。 だいたいな、イチローは小学校三年の時からバッティングセンターに通いつめて、100キロの球を打って、それでも満足できずに専用のバネを使った打席ができてたんだぞ。
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ええっ!小三で!?
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あぶない、こっち向くな!
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ぎゃー! デッドボールだし!!
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腹が出てんのにふらふらしてっからだ。 イチローより金森を目指せよ。
※金森栄治 1982年から西武、阪神のプロ野球選手。 デッドボールの多さから、「爆笑生傷男」の異名を持つ。
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やっぱりイチローは子供の頃から天才だったんだし…。 今からじゃ追いつけないかもしれないし…。
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天才の一言で片付けられる人じゃないだろ。 小学校の時から、お父さんが公園で猛特訓してたんだよ。
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ああ、チチローさんだし。 やっぱり長男だから期待をかけてたんだし。
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いや、イチローは次男だよ。 おじいさんの名前「銀一」からとって、一の字をつけたんだ。
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まぎらわしいし…。 僕もデビューしたら、タダシっていうカタカナネームで登録すると決めてるんだし。
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カープアカデミーにいそうだな。いないけど。
イチローは中学校に入ってからも軟式野球部でエースで三番とチームを引っ張り、全日本大会でも3位になっている。
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うーん…。 僕は中学のときは引きこもってたから、 ちょっぴり差が広がったし。
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名門野球部を持つ愛工大名電高校入学後は、1年ですぐにレギュラー。 2年と3年でそれぞれ甲子園に出場しているが、どちらも初戦敗退している。
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ふ、ふーん。 初戦敗退じゃしょうがないし。
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出るだけでもすごいことだろうが…。 高校時代の打率は約五割。三年時の県大会では実に7割。三年間での三振はわずか3つ。
ちなみにこの時代から、松井とは練習試合などで面識があったそうだ。
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へ、へえー…三振3つ…。僕がここ15分で記録したし。
松井ねえ。僕だってゴジラみたいな顔の友達くらいいるし。
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高校時代は、さらに投手も兼ねていたんだぞ。
自転車での通学中に交通事故に遭い、投手は断念せざるを得なかったのだが。
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運命のいたずらだし。 そのケガがなかったらピッチャーもやってたし。 どうなってたかわからなかったし。
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そうだな。 野手に集中したから、走攻守揃った伝説の選手になったんだろうけどな。
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よし、僕もピッチャーは断念するし。
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まぁ好きにしろよ。 高校時代、すでに数字以外でも伝説を残してるぞ。
当時から だったが、 ある日、練習でホームラン狙いのバッティング練習をしていた。
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ふむふむ。
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愛工大名電の監督が、鈴木お前は中距離ヒッターだろうと。 なにホームランの練習してんだ、持ち味を活かせと言ったんだ。
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天下のイチローにずいぶん上から目線だし…。
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まだ当時は高校生だろうが…。
それに対してイチローは、せっかく自分が塁に出ても他が打たないから点につながらないでしょうと言った。
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高校生のくせにナマイキだし!
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並の高校生じゃないんだから。イチローだぞ。
自分がピッチャーもやっていたから、自分がホームランを売って1-0で勝つしかないでしょう、と。
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ふむふむ…すごい自信だし。
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それに対して監督は、調子に乗るなと。 ちゃんとヒット打てるようになってから言え、というようなことを言ったら、イチローがボソっとこう言ったそうだ。
…センター前ヒットだったら10割行けますよ、と。
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…マジかし…。 さすがに10割は無理だろうし…。
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しかし、次の試合中に監督は気づいた。 イチローは全打席ヒット、しかもセンター前だったんだ。
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ひぇ〜〜〜〜!!! マジなのかしこれ!!
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うーん、イチローについてはいろんな噂や都市伝説がすでに行き交ってるのも事実。これも、もちろん証拠があるわけじゃないけどな。
でも、イチローならあり得る、という説得力があるよな。
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なんつう大物感だし…。 僕は高校の時はジャンプ一日早く売ってる店を探して奔走してたし…。
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ここまでの伝説を作ったが、甲子園では初戦敗退だったこともあり、1991年、オリックス・ブルーウェーブに入団したときはドラフト4位だった。
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イチローがドラフト4位!
せめて2位じゃだめなんですか!
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蓮舫かよ。 ちなみにその年のドラフト一位は田口壮。 彼ものちにメジャーに挑戦したな。
他には、アニキ金本、久慈照嘉、桧山進次郎、中村紀洋などが同期だな。
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イチローは一位で選べし! 見る目がないしー。 宇多田ヒカルをオーディションで落としたソニーの人かよし!
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まぁ、高校時代なんて目立った活躍をした選手が一斉に集まるんだから、見抜くのも難しいだろう。
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納得いかないし…。 イチローの伝説も知らないのかし…。
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お前も今知っただろうが。
1992年、ダイエー戦においてレフトの守備交代で1軍初出場。 翌日、初のスタメン出場、初ヒットも果たす。
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おー! いよいよイチローの快進撃開始だし!!
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ところが…。
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えっ? またケガでもしたのかし?
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いや、土井監督を始め、山内コーチ、小川コーチなど一軍首脳陣が振り子打法を認めず、ゴロを転がして足の速さを活かせと言われ、それを拒否して対立が深まってしまったのだ。
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なんてこったし!!
いつまでイチローの足をひっぱるんだし!!
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天才とはなかなか理解されないものなんだよ。
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わかるし…。 僕も理解されなくて苦しむことが多いし…。
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まあ、お前もある意味、思い込みの天才だな。
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このままイチローの才能が埋もれちゃうのはSayNo!だし!
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もちろん、そんなことはないわけだが。振り子のようなイチローの人生、しかしだんだんと振れ幅が大きくなってゆく…。
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続く