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なんとな〜く、金を探しにみんなが押し寄せたんだな〜、くらいしか知らないゴールドラッシュという言葉。しかし、その歴史はとてつもなく深く、様々な人間模様が入り組んでいるのです。今回は、ただしとサトルがその時代にタイムスリップ!金を探しに行くようです。
第1話
かつて金に夢を馳せた人々がいた……。ただしとサトルのゴールドラッシュ 第1話
一度は聞いたことのある? ゴールドラッシュの歴史。 ゴールドラッシュやカルフォルニア,フォーティーナイナーズを交えながらわかりやすく解説
2016/04/30
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気がつけばここは1848年のアメリカ。とうもろこし農家を営んでいるごく平凡な男「サトル」の元に、これまた近所の平凡な男「ただし」が息も荒くやってきました。さて、一体、ただしは何をサトルに伝えたいのでしょうか?
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はぁはぁ、やべえし! こりゃあ大ニュースだし!! びっくりだし! すぐにサトルに伝えにいかなければならないし! ハリー! ハリー! だし!
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お、なんだ? あれはおそらくただしだな……。今日もまた面倒くさそうな話を持ってくるんだろうな……。まあ、聞いてやるか。
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おーい! おーい! サトル〜〜! だ、大ニュースだし!
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はいはい。毎度ありがとさん。今回はなんなんだ? お前のところの牛のメリーが逃げ出しでもしたか? あいつは先月も脱走したからなあ。
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違うんだし! メリーは確かに昨日逃げてどこかへ行ったんだしが、今日はそれどころではないし!
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じゃあなんなんだ? お前さんのところのとうもろこしに病気でも出たか?
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そんなんじゃないし! それはすくすくと育っているし! いい感じだし! って、本当にそんな場合じゃないんだし! ボクらが大金持ちになるチャンスがやってきたんだし!
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ほう!? 儲け話か? でもお前の持ってくる儲け話には散々やられているからなあ……。
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聞かなくていいんだし〜〜? 本当に。
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まあ、正直言うとあまり聞く気はないな。
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ジェームズが金を掘り当てたと言ってもだしぃ〜〜?
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なにっ!!? あの、カルフォルニアのジェームズ・ウィルソン・マーシャルがか?! 金を掘り当てた?
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説明くさい発言ありがとうだし! でも、本当なんだし! 奴はそれで一気に大金持ちになりそうなんだし! この流れに乗る以外の選択肢はないんだし!!!
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まあまて、もう少し詳しく落ち着いて話してみろ。
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ジャームズが、サクラメントの東側のアメリカン川で砂金を発見したんだし! 砂金があるとうことは、もっともっと大元のすごい金が埋まっている可能性があるし、たとえ砂金でも集めればすごいことになるんだし!
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それを俺たちも探しに行こうっていうんだな? 相棒!!!
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だし!!! 急がないとやばいし!!
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どうしてだ? そんなに急ぐ必要があるのか?
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あるもある、大アリだし! すでにジャームズが金を発見したことは新聞にも載ってしまっていて、アメリカの各地から、さらには全国から多分30万人くらいの人が集まると思われるんだし!
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いやに具体的な数字を出してきたな……。まるで未来から見たような発言だな。
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サトル、空気読めし……。大人の事情もあるんだし。
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よし! それじゃあ一丁、俺たちもこの流れに乗るか! 金発掘に夢を託して!
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でも問題が結構あるんだし。
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なんだなんだ? 確かにカルフォルニアは遠いが、まあ1月もあれば到達できるんじゃないのか?
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それがだしね……。その地にはヤナ族などの、インディアン、原住民が住んでいるんだし!
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なるほどな。でも、まあ我々白人の敵じゃないだろうよ。こっちには鉄砲もあることだしな。金の為ならある程度の抗争は仕方ないさ。
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……という金目当ての白人、入植者によってカルフォルニアの人口は20万人まで一気に膨れ上がり、ヤナ族などの原住民は根絶やしにされ、絶滅させられてしまったのです。
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だし! その意気だし! 金があればなんでもできる! お金持ち万歳だし!
あ、そうそう、たしか、なんて言ったかな? 日本とかいう国から、「ジョン万次郎」とかいう人がボクたちと同じように金を採掘にきているんだし! 生意気だし! ここはアメリカだし!
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まあまあ、そういうこともあるだろうよ。とにかく戦いだからな。すぐに準備をしていくぞ!!
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おおおおおおおおっっっっっっ!! 盛り上がってきたし!!
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ということで、二人はすでにゴールドラッシュで沸いているカルフォルに一月をかけて旅をし、そして到着したのでした。
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着いたようだな。
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だし。
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すごい人だな……。これって、もう遅かったんじゃないのか?
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まさかこれほどだとは思わなかったし……。金の魔力恐るべしだし。
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これって、その辺を自由に掘ってもいいのか? なんか、もう会社というか組合みたいな団体のようなものができているんだが……。
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ちょっと聞いてくるし!
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……。
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どうだった?
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サトル、やばいし……。やっぱりもうボクらは出遅れたかもしれないし。すでに、採掘権自体をお金で買わないといけなかったり、道具を売る店さえできているし。もうちょっとした町のようになっているし……。
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な、なんだと? 自由に適当に掘ったらいけないってことか?
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それをやったらおそらく、いや、確実に撃たれるし……。金どころじゃなくなりそうだし。
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そうなんです。人間というのは一定の人数が集まると自然と「組合」「町」のようなものを形成します。トップに立つ人間が自然に生まれて、ピラミッドのような人間関係を築き始めます。二人が到着したのはすでに1952年。ゴールドラッシュと呼ばれるものもすでに中盤に入っており、町や法律のようなものさえもできていたのです。
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そのようだな……。俺たちは結構出遅れてしまったみたいだな。1849年には来るべきだったんだろうな。
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そうだし……。たしか、1849年にすごく多くの人がここカルフォルニアに押し寄せて、その人たちのことを49年という意味で「フォーティーナイナーズ」と呼ぶんだし。ボクらはフォーティーナイナーズになれなかったし……。
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フィフティーツーズ、って感じだな……。俺たち。
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なんか、ダサいし……。フィフティーツーズって……。
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しかも、まだ金は出るみたいだが、採掘権をすごい額で買わないといけないみたいだしな。
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ボクたちって一体……。しかもこんなに苦労して旅してきたのに。
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いや、でも到達できただけでもマシなのかもしれないぞ? 聞くところによると、アルゴー船の乗組員と呼ばれた人々は航海して5、6ヶ月かけて来たんだ。その距離はなんと、33,000キロ! 途中で命を落とす人も多かったと聞いているぞ。だから到達できた俺たちはまだマシなんだよ。
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そうかもしれないし! じゃあボクらは残りのお金を使って、採掘権を買って、なんとか元を取らないと、命を落とすのと同じことになるんだし! なにも得ずに帰ることはできないし!
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そうだな。それは言えているな。それじゃあ採掘権を買うとするか。
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しかし、この時すでに時は1953年。容易に採掘のできる金は取り尽くされてしまっていた。さらに追い討ちとなったのは、カルフォルニア州議会は外国人の採掘者には月に20ドルの税金を課すことにするなど、すでに末期となっていた。さらに、インディアンの追い出しが強まり、治安も非常に悪くなっていった。
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フィフティーツーズの運命やいかに??二話へつづく!