あのただしが「トミージョン手術」を受けようとするとは……

トミージョン手術で僕もエースになるし!! トミージョン手術や外科,復帰を交えながらわかりやすく解説

2016/06/10

鉄道王太郎

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トミージョン手術 外科 復帰 ヘルスケア リハビリ 手術 野球

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  • 痛いことと病院が大嫌いなただしが、手術を受けることを決めたようですが…?

  • 聞いたぞ、ただし!! お前……手術受けるんだってな。

  • ヘッ。あいかわらず、サトルの耳は地獄耳だし。

  • 水臭いぞただし。 どうして女房役の俺に一言相談してくれなかったんだ……

  • それ以上は、いうなし!

  • 一体何の騒ぎよ、男子たちぃ。

  • ああ、……あのただしが。 しょんべんちびりで有名だった、街の変わり者こと、ただしが、ついに決断したのさ。

  • と、トミー!!

  • ジョン!

  • お、おう、どうした?

  • トミィィー!!

  • ジョォォン!

  • ……って誰?

  • 「トミージョン手術」!!!それは、1974年にフランク・ジョーブによって考案された、肘の靱帯断裂に対する手術術式である!!

  • トマス・エドワード・"トミー"・ジョン・ジュニア…… 彼は1943年インディアナ州生まれの、気さくな野球人だった。 だがある日突然、彼に悲劇が襲ったんだし……。

  • 嫌な事件だったな。

  • てか、トミージョンって普通に人の名前だったのね。

  • 1974年7月のロサンゼルスドジャース対エクスポズ戦。彼は左ひじ断裂に襲われる。 選手生命はおろか……もはや日常で簡単なものを持ち上げる動作すら、危ういとされたのし……。

  • その危機を救ったのが

  • ああ、彼さ

  • 彼だったとはな

  • 誰だよ

  • フランク・ジョーブ博士」だし! ゆりかも……名前くらいは知ってるだろし

  • 知らないよ

  • あのダイジョーブ博士のネタな

  • ああ、あの博士のせいで何人のサクセス選手が闇に消えていったことだし……

  • 元ネタもそのパロも知らないって。

  • ……ジョーブ博士の新方式の手術により、トミージョンは2年のブランクのみで見事野球界に復帰を果たした。 それだけではない。その後2年連続の20勝以上を記録するなど、大活躍したんだし。

  • 以来、この手術の方を、人々はこう呼ぶ……

  • 「トミージョン手術」、と……

  • すごいのは分かったけど、いったいどんな手術なの?

  • 肘の骨に……穴をあけるんだし

  • 骨に!!

  • 腕やへその下の辺り(臀部)などから、他の筋肉を摘出して、 開けた骨の穴に通して止めるっていう方法だし

  • 肘の腱そのものを治療するっていう手術じゃないのね

  • そう。だから、例えば手首の腱から移植した場合、その手首は握力を一時的に失ってしまう。

  • そんなにリスクが高い手術なの?

  • リスクなくして、成長はなしだし!

  • 一見、荒っぽい手術だが、これまで多くのプロ野球選手がこの手術を受けている。それに「正常な腱を治療個所に移植する」という手術自体は、外科の中でも比較的一般的な方法なんだ。 「トミージョン手術」という名称は、特に肘への腱の移植の事を指す、というわけさ。

  • 野球界ではそんなにメジャーな方法なの?

  • 日本だと古くは「マサカリ投法」の村田兆治、「大ちゃんフィーバー」の荒木大輔「ボール見つめ男」桑田真澄などが代表的な手術経験者だな。

  • 大ちゃんフィーバー……

  • 最近だと和田毅や藤川球児、松坂大輔、ダルビッシュ有などが記憶に新しいし! つまりこの手術を受ければ、おいらも名だたるメジャーリーガーに肩を並べることになるんだし!

  • だが……体の構造的に、日本人選手はメジャーリーガーにくらべ、リハビリ期間を長く必要とし、リスクも大きいというが。

  • でもメジャーリーグでは9割の選手が手術後復帰しているんだし!

  • つまりメジャーリーガーになれば、手術成功率が9割になるんだし!

  • いや、その理屈はおかしい。

  • 忘れたのか? おいら、人の意見に極端に耳を貸さないタイプなんだし! 天才型なんだし! 「センス○」なんだし! 「ケガしやすい」なんだし!

  • しかしただし……なぜおまえが手術を……

  • そうよ。別にあんた、怪我してないじゃない

  • まさかただし……「トミージョン手術を受ければ球速が上がる」っていう俗説を、信じてるんじゃないだろうな!

  • ……(ドキッ)

  • ただし、お前。

  • タマを……早く……せにゃならんのだよ。

  • バカ!! 肘にメスを入れるっていうことを、真剣に考ろ!

  • 球速を……あげてえんだし……。 おいら、何の努力もせず、タマを、早く、したいんだし!!

  • バッキャロウ!!

  • あっ、サトルのネコパンチ!

  • サトル……

  • トミージョン手術に関して、それは誤解だぞただし。 確かにトミージョン手術を受けた後の選手たちは、球速が上がったように見える。 復帰後の選手たちが防御率が 改善しているかのようなデータもある。

  • だがそれは…… 手術を通して自分の体と向き合い、リハビリ中球が投げられないことから下半身をまじめに強化した努力の結果得られたものだ!!

  • ど、努力!!

  • トミージョン手術後のリハビリ……これは経験者にしかわからない地獄の苦しみがある。

  • 苦しみ!!

  • たとえば、ある人の回想によれば…… 手術後2か月は痛みは続き、日常生活に支障をきたすほどだという。

  • ……。

  • その間、手術直後肘の可動域を、ただ「元に戻す」ためのリハビリをしつづける。 運動神経抜群だった自分が、動かない、自由にならない自分の体とじっくりと向き合うんだ

  • 自分と……向き合う……!

  • 球を投げたい、早く力いっぱい投げたい—— そんな衝動に耐えて、ゆっくり、確実にリハビリをこなし、下半身トレーニングを積み重ねたからこその、結果なんだ!

  • トミージョン手術を安易な考えで受けるんじゃない!! ただし!!

  • お……おれ……

  • 俺が、間違ってたし…… トミージョン手術を受ければ、努力しなくても球速も上がり、防御率が上がって…… 女の子にモテまくるとおもっていたし!!

  • なんてすがすがしいクズなのかしら。

  • 一部のアマチュア球界で、トミージョン手術にそういった誤解があるのは事実だ。 「トミージョン手術を受ければ、球速が上がる」……それはとんだ誤解だ。

  • おいらは、努力も、苦しみも、自分と向き合うのも嫌なんだし! サトル! なんとかならないかし!

  • なんてすがすがしいクズなのかしら(30秒ぶり2回目)。

  • だが、トミージョン手術は、希望でもあるんだ。 かつてはひじの故障とは、そのまま選手生命の終わりを示していた……。

  • サトル……?

  • だがトミージョン手術と、それにともなうリハビリの方法の確立は、多くの若くして肘に故障をかかえた野球人を救ってきた……。 問題は、今の野球界の構造的な問題なんだよ!

  • なんか変なゾーンに入ったわね。

  • 野球人が若年時から肘を酷使しすぎ、その疲労の蓄積で故障が急増しているのが問題なんだ。今のままの環境では、野球人は自分の体と向き合うことなく、ただ体を酷使し、適切な休養をとれず、やみくもに体を酷使しすぎてしまう。

  • トミージョン手術の効果というのは、手術そのものの効果よりも「適切な休養」や「適切なリハビリ・トレーニング」をもたらすことの方が強いんじゃないかなと思うぞ。

  • ……てか、ただし野球やってたの?

  • いや……ただ俺は…… タマを、はやく……

  • は?

  • タマを、はやく、いきたくて、その…… 高速で、上下してたら……肘が……

  • お前……

  • タマが、はやく、こう、イキたくて……女の子に、モテモテ……

  • ゆりか、バットはないか?

  • なぜかここにあるけれど

  • そのバットで、ただしのボールを、思い切りホームランする必要があるな……。

  • それだけはやめちくり!

  • かくしてただしは、安易なトミージョン手術を諦め、まじめに自分の体と向き合い、地道な下半身強化にいそしむことになったという……野球はやっていない。

  • おわり

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